| 2023年 | 全国俳誌協会 2022年の活動 秋 尾 敏 コロナウイルス禍は継続しているが、世の中はかなり動き始めたようである。活動制限が緩和されたこともあり、当協会も、少しずつではあるが、従前の活動を取り戻しつつある。 役員の活動が電子メールを軸に行われていることは昨年と変わりないが、常任幹事会を五月に一度、また俳句コンクールの準備のための担当者会議を一一月に、それぞれ都内で開催することができた。 また、第九回編集賞授賞式、第五九回定時総会、第四回新人賞授賞式という三つの行事を実際に開くことができたことは大きな収穫であった。 第九回編集賞は昨年度の行事で、東海大学名誉教授の伊藤一郎氏、俳人の菊田一平氏、「俳句四季」編集長の上野佐緒氏による選考によって、編集賞に「野火」(菅野孝夫主宰・月刊)、特別賞に「都市」(中西夕紀主宰・月刊)と「連衆」(谷口慎也代表・隔月刊)の受賞が決まっており、その授賞式を年度内に行うことが出来なかったため、令和四年二月二六日(土)、埼玉県所沢市の角川武蔵野ミュージアムにおいて開催した。感染防止という観点から、式後の懇親会は設定できなかったが、角川武蔵野ミュージアム内を見学させていただき、充実した会となった。 第五九回定時総会は、五月二九日(日)、東京都千代田区平河町の朝日ビルで開催され、事業報告、決算、予算、行事計画のすべてが承認された。懸案の会費の値上げについては全加盟誌に書面で意見を求め、これも可決された。 また総会の席上で、第二八回全国俳句コンクールの授賞式も行われた。今回のコンクールには、九〇八句の応募があった。主な受賞者は次のとおり。 協会賞 人の世の暮しに金魚ひるがへる 河村 正浩 草の実の飛んでどこかが軽くなる 森川 淑子 優秀賞 人間はゆっくり育つ葱坊主 秋山百合子 靴で書くスタートライン春の土 尾澤 慧璃 着ぶくれて曖昧模糊になる敵意 中内 火星 鳥渡る決して振り返らぬ力 伊原 草心 煤逃の顔を蒸されてをりにけり 尾澤 慧璃 魚は氷に上り子役の初舞台 岡本 紗矢 黙祷の万のひまわり海を向く 丸山千代子 兜太なき秩父は冬の底にある 田村 隆雄 蟬時雨止みてより山軽くなり 大西 誠一 五指開き閉ぢて勤労感謝の日 丸山みづほ 秀逸賞 秋祭り灯が村を大きくす 佐藤 南北 菜の花忌もうこの坂は登れない 東 國人 霜降る夜むかしばなしに鬼のゐる 望月 百代 つらつら椿ことばは嘘をつくために 久野 康子 海猫渡る小さな島の滑走路 小林 俊子 機嫌良き順に落ちたる木の実かな 増田都美子 マフラーを結び夜景を取り戻す 山﨑 政江 この国に軒下のあり燕来る 川崎 清明 丸火鉢乗船客が炭を足す 木之下みゆき みちのくの喪服のままの雪女 曽根新五郎 水の皺伸ばしきれずに薄氷 良知 悦郎 煤逃げやイルカのショーの水浴びる 平川扶久美 剝いでも剝いでも八月は瘡蓋 石井紀美子 なお、本年度は「門」主宰の鈴木節子氏がお亡くなりになった。謹んでご冥福をお祈りする。当協会の趣旨に強く賛同され、活動を励まし続けてくださった方であった。 第四回新人賞選考委員会は、俳人の神野沙希氏、時田智也氏、堀田季何氏を選考委員に委嘱し、九月一四日(水)に、東京都港区新橋で開催。新人賞に古田秀氏、新人賞準賞に田村奏天氏、特別賞に三枝ぐ氏と後藤麻衣子氏、神野紗希奨励賞に池田宏陸氏、鴇田智哉奨励賞に友定洸太氏、堀田季何奨励賞に小鳥遊五月氏の受賞が決まった。前回の受賞者同様、俳壇で大いに活躍されることを期待している。 授賞式は、一〇月三〇日(日)、東京都港区芝浦の東京会議室において開催され、古田秀氏の所属結社の代表である恩田侑布子氏もお越しくださり、また東京都地区現代俳句協会会長の山本敏倖氏、「門」主宰の鳥居真理子氏らのご来場もあって充実した会となった。 あわせてこの席において「俳誌のかたち」と題した記念トークショーを実施した。パネリストは、新人賞審査員に加え、「俳句」編集長の石川一郎氏と秋尾が務め、現在の俳誌の問題点と、これからのあり方を話し合った。ネットの利便性を有効活用しながらも、紙媒体の存在価値を継続させていく必要が話し合われた。 徐々に本来の活動を取り戻しつつあるが、吟行や懇親会を行うことはまだ難しい。しかし、対面での交流の機会を作らなければ、当協会の目的である流派や主張を越えた交流という目的を達成することはできないように感じる。令和五年度には、編集賞に加えて、小規模でよいから吟行会を実施したい。また協会賞の復活も大きな課題である。 |