| 全国俳誌協会 2021年の活動 秋 尾 敏 コロナウイルス禍も二年目となり、渦中での活動の仕方が少しずつ見えてはきたものの、やはり従来どおりの活動を展開するということにはならず、自粛の中での消極的な活動となってしまったことは否定できない。 役員同士はすべて電子メールに頼っての活動となったが、編集賞の選考でZOOMを活用するなど、時代状況に即した活動が展開できるようになったことは評価すべき点と考える。十一月に実際に集まって常任幹事会を開き、次年度の見通しが立てられたことは幸いであった。 都内での活動が自粛を要求されるという状況の中で、六月に予定していた定時総会も中止とせざるを得ず、書面決済によって加盟誌会員の同意を得ることになったが、決算、予算、行事計画すべてが承認された。また、懸案事項となっていた幹事長の就任については、「瓏玲」主宰の今野龍二氏がお引き受けくださることになった。 一方で、当協会顧問の有馬朗人氏がご逝去されたことは本当に残念なことで、心よりお悔やみ申しあげる。氏は第二回編集賞受賞以来、顧問として当協会をお支えくださった。 また「好日」主宰の長峰竹芳氏、「海鳥」代表の川辺幸一氏も鬼籍に入られた。長峰氏は長く個人会員としてご参加くださった後、主宰退任時に加盟誌となるよう導いてくださった。川辺氏には、これから役員として活動をお願いしようと考えていた矢先のことで、まことに残念であった。ご逝去された方々のご冥福をお祈りする。 第二十七回全国俳句コンクールには、八四〇句の応募があったが、定時総会の席上で行われるはずになっていた表彰式は今年も中止となり、賞の授与は郵送で行うことになった。受賞作、応募作はすべて作品集に収めて参加者に配布した。主な入賞作は次のとおりである。 協会賞 豆撒いて拾って平均的家族 星野 一惠 優秀賞 ファックスの白紙で届く原爆忌 石口 榮 ふる雪や濾過されてゆく少年期 松末 充裕 切干や平家の裔は子沢山 角 達朗 大根煮る男料理の箸の穴 奥村 利夫 風のほかふれてはならぬ寒牡丹 本多やすな 凍蝶や触るればくづれさうな翅 奥村 安代 神木に添木食ひ込み冬ざるる 上村えつみ 障子貼る死ぬまで生きるしかないか 大川 竜水 風花舞う詩に翼のあるように 椎名 鳳人 蛍来いふる里に母いなくても 石口 榮 見慣れたる山に一礼初明り 伊藤 昭子 ブーゲンビリア二つの海が見える坂 木之下みゆき 秀逸賞 焼芋の冷めた関係明日は明日 杉浦 一枝 兜太の忌少し熱めの風呂がよい 東 國人 陽だまりを墓標としたる冬の蝶 星野 一惠 もてなしは箸の穴あるふかし藷 根本 晴市 鞦韆を降りたる吾を母知らず 玉山 政美 春田打つ一番星のともるまで 松末 充裕 満開のあしたは風になる桜 成田 清子 田水張る夜は満天の水鏡 奥村 利夫 学校の桜ひかりのありどころ 秋尾 敏 買初は身の丈に合う庭箒 矢野 欽子 カレンダーの裏はまつ白寒の明 関根 瑶華 歯磨きの匂ひしてをり初桜 尾澤 慧璃 雲雀野は広き除染地番鳥 島 洋子 アウシュヴィッツ冴ゆ切断の鉄路かな 平井 絹江 青き踏む丘のどこかに神獣鏡 岡本 紗矢 生き過ぎて又節分の豆拾ふ 塩田千代子 勾玉は不思議なかたち蝶の昼 宮田かつこ 第九回編集賞には二十誌から応募があり、十月五日、東京の駒込に会場を設定し、ZOOMも併用して選考会が行われた。今回の選考委員は伊藤一郎(元東海大学教授)、菊田一平(俳人)、上野佐緒(「俳句四季」編集長)の三氏にお願いし、草野大作顕彰部長の進行により選考が行われ、編集賞には「野火」(菅野孝夫主宰・月刊)、特別賞には「都市」(中西夕紀主宰・月刊)と「連衆」(谷口慎也代表・隔月刊)の受賞が決まった。授賞式は来年一月三十日(日)に、所沢市の角川武蔵野ミュージアムにて行う予定である。 今年度の大きな成果として、昨年度の新人賞に入賞した若い俳人たちが俳壇で活躍し始めたことがある。本阿弥書店「俳壇」誌、東京四季出版「俳句四季」誌、角川文化振興財団「俳句」誌に、次代を担う俳人として取り上げられたことは特筆に値することである。本協会は、これからも次世代を担う新人の発掘に努めていきたい。 十一月二十二日、都内新大久保において二年ぶりとなる常任幹事会を開き、令和四年度の事業計画等について意見が交わされたが、やはり、直に会って話し合うことは重要であった。積極的な意見交換がなされ、協会賞、新人賞、全国俳句コンクール、総会など積極的に実施を目指そうという発言が多くなされた。また状況の変化によって活動の制約がなされる可能性があるが、そうした中でも、できる限りの活動を展開していきたい。 |