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  全国俳誌協会、この一年 2024年


                     秋 尾   敏



 まず前年度末のこととなるが、令和五年十二月一日(金)、東京上野の台東区民会館において、第十回編集賞授賞式を開催し、編集賞を「岳」(宮坂静生主宰・月刊)に授与。また、編集賞特別賞を「円虹」(山田佳乃主宰・月刊)と「松の花」(松尾隆信主宰・月刊)の二誌に授与した。
 選考委員は東海大学名誉教授の伊藤一郎氏、俳人の菊田一平氏、「俳句」編集長の石川一郎氏の三名。意味深い講評を頂いた。また式の最後に宮坂静生主宰のご講演を頂いた。
 場所を移して同会館八階にある上野精養軒浅草店で祝賀会を開催。編集賞受賞誌の編集長、小林貴子氏のスピーチで開会し、楽しく充実した交流のひとときを過ごした。
 新年度となり、第六十一回定時総会を、六月二二日(土)、東京都北区の北とぴあで開催。事業報告、決算、予算、行事計画、及び役員の一部変更のすべてが承認された。
 なお、本年度は新人賞開催の年度であったが、役員の人員、予算面に余裕がなく、次年度に編集賞と併せて開催することとなった。また、俳句コンクールの予算が年度を繰り越してしまう問題を解決するため、第三十一回大会からは、十二月末日を締め切り日とし、俳句大会の事業費を年度内に決済できるようにした。そのため、本年度は俳句コンクールが二度開催される。
 総会の席上では第三十回全国俳句コンクールの授賞式が行われた。今回のコンクールには八百十句の応募があった。主な受賞者は次のとおりである。

協会賞
日記買ふ言葉に力ある限り     渡辺 一充
優秀賞
躾糸解けばふくらむ春着かな    松田 圭子瓏玲・山河
蟬しぐれ被爆の石の影尖る     山中とみ子
被爆の日筆圧強くものを書く    中岡 昌太 朱夏
黄水仙誰かゐさうでゐない家    上野 龍子 門
十二月八日じりじり魚を焼く    中岡 昌太 朱夏
水無月の龍太の川のうすみどり   西﨑 久男 軸
あの世への切符のような咳が出る  中内 火星 瓏玲

秀逸賞
背伸びして野良着干すはは木の芽時 山中とみ子
涅槃図の余白百万回生きた猫    青木 栄子 自鳴鐘
つるし雛くるりと光はね返す    根本 晴市 麻
ラガー追ふラガーは風を追ひ越せり 田口 武 歯車・銀化
少しづつ何かを捨てて春きざす   森山洋之助 炎環
体内の知らない部屋のシクラメン  安田 政子 軸
ひとりの餉目刺食ふかと猫にきく  大山実知子 秋
引力と釣りあふ秋の金魚かな    野上  卓 汀
襟立てて百の椿の声を聞く     髙橋 健文 好日
向日葵の後ろの人のみな無口    佐藤 南北 瓏玲
母の日や母は寄せては返す波    丸山千代子 小熊座
 総会当日懇親句会の主な作品は次のとおり。
ペン持たぬ右手の湿り蝸牛     田中 朋子
俎板の千の傷跡夏料理       青木 栄子
化粧して太平洋を泳ぐかな     青木 栄子
この星を使い廻して猛暑かな    佐藤 南北
ひまわりや別の時間を生きている  中内 火星
巧まざる老の洒落っ気夏帽子    髙松 守信
珈琲に溶けるシャンソン青葉雨   佐藤  久
蟻塚に曳き残したる対の翅     野上  卓
ハチ公に群るる異国のサングラス  尾澤 慧璃
四の五のと面倒な人ソーダ水    福山三智子
七変化恋はアルカリ性である    川崎 果連
筒抜けの言葉のありし心太     笹木  弘
交番が留守ばっかりで梅雨に入る  鹿又 英一
鬼灯の鬼だけおいてゐきなされ   鳥居真里子
万緑に噛みつき合った夜がある   宮澤 順子
夏帽子くるり青空近づける     渡辺 樹音
荒梅雨やネオン張り付く街の底   尾澤 慧璃
牛蛙遠き都会の闇を鳴く      野上  卓
機首のない零戦眠り大南風     栗原かつ代
今年竹小さな私語の風を生み    佐藤 南北

 九月二九日(金)には東京都墨田区・台東区で秋季吟行会を開催した。句会場は総会と同じ東京上野の台東区民会館。主な作品は次のとおりであった。
焼カステラでもてなす秋の二天門  西﨑 久男
浅草に断りもなく海猫残る     白石 正人
三囲るは祈りの作法秋旱     木之下みゆき
秋の風推してはもどる屋形船    須田  茂
波を織る彼岸此岸を秋の風     今野 龍二
大川や江戸の秋陽を腹に溜め    秋尾  敏
萩の風木歩の夢を追いかける    見目 千絵
神将の吐き出す秋の蚊をはたく   森岡 正作

 冒頭に記したように、十一月から第三十一回全国俳句コンクールの募集を開始し、皆様のご参加をお待ちしている。 
 次年度には、新人賞、編集賞をともに開催する予定である。こちらにもご参加を頂きたいと思っている。